とは言え誰もがそこで寛げる訳ではない。決まった人間しかその門をくぐる事は許されないのだ。そして何より、最近頻繁に放し飼いにされてるらしい犬には充分気を付けなければならないからだ。
  僕は到着するなり、そこらかしこにいるロクデナシ達にウイッスウイッスと挨拶を交しながら一番奥までどんどん進み、僕の部屋のやつよりも三倍くらい上等なボックス・ソファーの角に身を放り投げた。軽く一息付きながら目の前の烏龍茶を飲み干して、今はどんな感じ?と訊ねる。「今はちょっと一休み、これから混ざる?」
おお、混ざる混ざるとか言いながら再び立ち上がり、そのあたりに転がっていた太鼓を手に取った。
「とりあえずオレこれからだし・・・ゆっくりな感じから頼むわ。」
「んん、ゆっくりね。分かった。スロウなブギーで。浅野温子が脱いでたヤツで。」
  例えが古いしそもそも関係無いし・・・で苦笑いを浮かべる僕のリアクションをよそに、全員がアイコンタクトを取りながら八分で打っていく。
そしてその八分打ちが更に八回繰り返される頃には、おおよそ全てが揃う。自分達のそんな過ごし方を傍から見た場合、それが果たしてイイ感じなのか大してそうでもないのかは知ったことじゃないけども、少なくともファンクが最高だって事は胸を張って言える。
そう、それだけは確実に言えるのだ。そして静と動の反復に酔う今この瞬間、僕らが間違いなくファンキーでインクレディブルである事も分かっている。だからつまり、そういうことなのだ。


5:30PM ―Ulticut Live from $$$$ 1
 よく見ると、いつもなら居るはずの二人組がそこにいない事に気付く。そう言えば、夕方からどこぞでライヴをしているから顔出せとか何とか・・・そんな指令を耳にしたような気もするが、頭の中で散らかった記憶の断片と、目の開いていない周りの連中からの情報の断片とをコラージュしてみない事には、今の状態では何ともよく分からない。あれ?もしかして今ちょうど真っ最中・・・?そうに違いない。すっかりソファーに埋もれてしまっていた僕達が、重い腰を上げて動き出す良いきっかけだ。そろそろ外の空気も吸いたい。



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